自覚

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「好きだよ、颯人のことがずっと好きだ」 「じゃあ今日マンションに連れ込んでいた女は誰だ?」 「それは…」 悠が気まずそうに押し黙る。その様子に俺も黙ってしまった。ラチがあかなくなった俺たちを見かねて、有賀が助け舟を出す。 「おい、生々しい話をこれ以上俺の家でするな。この先は別の場所で話せ。それにこの後ここにあいつが来るんだよ」 「あいつって…」 俺が尋ねると有賀は微笑んだ。 「俺が愛してやまない人」 それは…俺たちがここにいたらまずいよな。悠も俺もそう悟った。悠は俺を抱きしめたまま、俺の顎をクイっと上に向かせて話しかけた。 「颯人…全部話す。全部話すから俺の家に来て。それでゆっくり話そう」 「悠のあのマンションはやだ…。今は行きたくない」 「そう…だよね。じゃあさ、じゃあ俺の実家の方でどう?颯人も一回来たことがあるよね? 今は弟の和也しかいないから」 「わかった。それと、俺も悠に話したいことがあるんだ」 俺が言うと悠は頷いた。 もう想いを隠しておけなかった。隠そうとしてもいつかバレてしまうだろう。 それは悠がこの部屋に駆け込んできた瞬間から思った。 なんというか…悠がいつもよりすごくかっこよく見えてしまう。見慣れた顔のはずなのに、自覚した瞬間から顔が熱くなるのが止められなかった。 今更ながら、悠がイケメンすぎるのが悪い。 暴力だ。顔面の暴力だ。叶うわけないだろ。 でも想いを伝えるまでは隠さなければ。悟られないようにしなければ。 俺たちは有賀にも礼を言って、そのまま悠の実家に向かった。
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