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「で、そのストーカー化した子をどうしたって?」
「……」
悠がいきなり口籠る。
この様子を見るに、俺の予想は的中してしまっているようだ。だが前へ進むには全て精算しなければならない。
「言え。でないと俺とお前の関係はこれきりだ」
「あと一回だけ寝てくれたらもう付き纏わないって言われて…。付き纏われたせいで俺の好きな人が颯人だってバレたんだ。寝てくれないと周囲にバラすって脅された。俺は別にバレても良いけど、颯人に迷惑がかかるのは絶対避けたかった…!」
「それは…」
「だって颯人、同性愛を少し受け入れられない節があるでしょ?」
「……」
「見てればわかるよ。でもその同性愛の壁も超えて、俺は颯人を愛そうと決めた」
やっぱり悠にバレていた。きっと俺のどうしようもない葛藤も全て分かっているのだろう。
それはそうとして、悠があの女と寝た原因はそれだけなのだろうか。
「それ以外にあの女を抱いた理由はないのか?」
俺の問いに、悠は少し間をあけてから答えた。
「全部あの子のせいみたいに言ったけど、原因は俺にもある。…ここ最近颯人と走って遊ぶようになって、距離感が近くなったでしょ? それは俺にとって嬉しいことでもあり、辛いことでもあった」
「それと何の関係が…」
「颯人に触れると、どうしても手を出したくなってしまう。颯人も颯人で可愛い反応をするから、ついついエスカレートしそうになる。だけどあの日の夜のような惨事を繰り返してはいけない」
「……」
「それは俺の中にある強い戒めなんだ。二度と颯人にあんな思いをさせてはいけない。だからそれ以上は絶対に手を出せないんだ」
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