未知の男子校

7/10
前へ
/188ページ
次へ
「ようこそ、ここが生徒会室だよ」 執事のように恭しく扉を開ける氷室。扉の向こうには真っ直ぐと長机が伸びていた。夕陽をバックにその一番奥に座る人物が一人。 「なんだ。会長いたの」 じゃああの人が会長…。逆光で顔が見えない。 「あの部外者が入ってすいません。やっぱ帰ったほうがいいですよね。帰ります!」 「いや構わない」 凛々しい声が返ってくる。この声、どこかで聞き覚えが…。 「君はさっきの迷子になってた人じゃないか」 え? 近づいてみるとさっき道案内をしてくれたイケメンが座っていた。彼も少し驚いたような顔をしている。 「何故君がここに…」 「会長なんで蒼井のこと知ってるの」 「さっき廊下で会ってな」 ふーん、と氷室が俺を見る。なんだその目は。なんで不機嫌そうになるんだ。 「ここは先客がいるみたいだから他の場所探そうか、蒼井」 「別にいいじゃないか。お前の知り合いなら。俺もゆっくり話がしたい」 氷室が俺を引っ張ると会長がそれを制した。 「会長がそんなこと言うなんて珍しいね。蒼井が可愛いから欲しくなったの?ダメだよ蒼井は。僕が先に見つけたんだよ」 「そういうことじゃない。どうしたんだ氷室らしくない。あの水泳部の蒼井のお兄さんだというから話が聞きたくなっただけだ」 「本当にそれだけ?」 氷室にじっと睨まれて会長は強く頷く。どうして氷室は俺を紹介したがらないんだろう。やはり勝手に部外者を連れ回してるから大事にしたくないのかもしれない。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2405人が本棚に入れています
本棚に追加