未知の男子校

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「立ち話もなんだ。そこに座ってくれ」 そう言って会長は俺に隣の席を勧める。氷室も渋々と言ったように俺の隣に腰をかけた。 「それにしても驚いた。君があの雅樹のお兄さんだなんて」 「弟を知っているんですか」 「雅樹は風紀委員に所属していてな。俺と風紀委員長の反りが合わない分、雅樹が生徒会と風紀の橋渡しをしてくれているんだ」 ふーん、あの雅樹が。家ではそんなこと言ってないけどな。 「蒼井くんは本当は生徒会に入れたかったんだけどな。風紀にとられたんだよ」 氷室もポツリと言う。 「それにしても雅樹は兄弟の話なんかしたことなかった。でもまぁ…この容姿なら納得できるというか…。ところで名前は?」 「蒼井颯人です。高3です」 「そうか。俺は生徒会長の有賀亮。俺も高3だ。タメなんだし敬語はもういいだろ」 「そうだな。よろしく」 有賀が男らしく笑う。なんだろう、この高校イケメンしかいないのかな。 俺はおかしくなってつい笑った。すると二人がじっと俺を見つめる。 「あーあ、だから会長に会わせたくなかったのに。ってか誰の目にも晒したくない。」 「へ?」 「そうだな…。隙だらけで俺まで不安だ」 有賀までやれやれというように首を振る。 「さっきから俺にはよく分からないんだけど、この学校って少し特殊なのか?」 「まぁね。蒼井も知っておいて損はないかもよ」 「俺から説明しよう」 有賀が真剣な顔をして話し始めた。
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