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そのまま俺たちはジェットコースターに着いた。やはり遊園地一の人気アトラクションとだけあって、長蛇の列ができている。
「うわ、結構並んでいるね。颯人大丈夫?」
列を眺めて悠は眩しそうに目を細めた。
「並ぶのは嫌じゃないから平気。悠さえ良ければ並ぶよ」
「俺も平気だよ。それに颯人といっぱい話せるしね」
そう言って悠は俺の肩を抱いてジェットコースターの列へ並んだ。密着してドキドキしたのも束の間、すぐに悠の腕は離れていく。
その瞬間物足りなさや寂しさを感じた。
周りは人でいっぱいだ。たしかに悠はイケメンだしスタイルがいいから人の目を引くけど、誰かにずっと見られているわけじゃない。
一々俺たちの動作なんて気にもしないだろう。
そう思って悠の手をチラリと見た。
男らしく骨張った、俺より少し大きな手だった。
繋ぎたい…。
あわよくば恋人繋ぎをしてみたい…。
手を繋ぐときって、どうするんだっけ。漫画やドラマでは、彼氏が自然に彼女の手を握りしめていた。
タイミングが重要なのだろう。それに違いない。
ところで手を繋ぐタイミングっていつだ?
急に繋いだら悠はきっとびっくりしてしまうだろう。せっかく繋いだ手を離されてしまうかもしれない。
先ほどから悠と他愛のない会話を続けている。
しかし俺の脳内は手を繋ぐタイミングに集中しすぎて、内容がロクに入っていなかった。
気がつくと、なんとなか相槌を打つだけになってしまった。その様子に悠が眉をひそめる。
「颯人、どこか上の空だけど大丈夫? どこか具合悪い? それとも悩み事?」
「えっ、いやいや! 違う。なんでもない!」
とっさに誤魔化すと、悠はまだ疑わしそうな顔で「ふぅん」と言った。
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