「らしさ」

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うう…、悠に疑われてしまった。 なんだか今更手を繋ぐのも「このことで悩んでました」ってバレバレな気がするし、無理だ…。 完全にタイミングを逃した。 でも、まだまだこれからだ! 今日はまだ先が長い。悠とイチャイチャできるタイミングはいくらでもあるだろう。 すると悠が話しかけてきた。 「あのね、今回颯人が遊園地に誘ってくれて本当に嬉しかったんだよ」 「え、それなら良かった。好きなのか、遊園地?」 「好きというかね…なんで言えばいいんだろう。俺の両親は少し特殊な職業だから、子供の頃あまり遊んでもらえなかったんだ」 両親が家を空けがちなのは俺の家も一緒だった。だが俺の家には雅樹がいたから、二人で支え合って生きてきた。 「遊園地なんてとてもじゃないけど行く時間がなかった。小学校で友達が遊園地に行った話を、お伽話のように聞いていたよ。純粋に羨ましかった」 「……」 「でも俺はまだ我慢できた。可哀想なのは弟の和也だ。和也は生来寂しがり屋でね。今はあんなふうに可愛くなくなっちゃったけど、昔の和也は泣き虫の寂しがり屋だった。それで段々捻くれちゃって、埋められない心の穴を埋めるように私生活が乱れていったんだ」 「そうなんだ…」 俺が返事をすると悠は悲しげに笑った。 「和也の気持ちがわかるから、俺は止められなかったんだよね。可哀想で。でも今では後悔してるよ」 「でもさ、和也くんこの前会った時は随分雰囲気が変わってたよ。良い方に」 「ああ、留学の件ね」
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