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「和也は捻くれちゃったからあんな風に見えるけど、元々は優秀な子なんだ。英語の成績がとくに良くて、今回のイギリス留学も先生からの紹介なんだよ」
「それはすごいな。初めて会った時は全くそんなふうに見えなかった」
「だよね。でも和也の部屋は本でいっぱいだよ」
和也くんの新しい一面を知ることができた。人は見かけによらないものだ。
話を聞くと、一年ほどの留学らしい。
「和也のことだし、帰ってくる頃にはもっと英語ペラペラになってるかも」
なんてふざけたように悠は笑ったが、少し寂しそうな表情をしていた。
俺も弟がいる身としてはとても気持ちがわかる。
初めて雅樹が合宿に行った時、一抹の物悲しさを感じた。ああ、俺の手がかからなくてももう平気なんだって。雅樹が少し遠い存在になった気がした。
今や雅樹の方がしっかりしてるし、頼りになる。弟も成長するものだ。
「大丈夫だ、和也くんはきっと楽しくやるよ。心配しなくて良い」
「ありがとう、颯人にそう言ってもらえると嬉しいよ。そういえば同じ兄同士だね、仲良くやろう」
「おう、今更だろ。そもそも和也くんと雅樹も、俺たちも年齢一緒だろ?すごい偶然だな」
「確かに。運命を感じますよ、颯人くん」
そう言って笑い合った。
二人で話しながら並ぶと時間があっという間にすぎ、ジェットコースターに乗る番が回ってきた。
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