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「あ、颯人みて。次乗れそうだよ」
「本当だ。そろそろだな」
悠が前を指差す。その方向を見ると、前にはもう4、5人しかいなかった。
ジェットコースターに乗るのは久しぶりだ。少し緊張してきた。
すると悠が俺の方を向いて微笑みかけた。
「颯人もしかして怖いの?」
「そんなことないって言いたいけど…本当は怖い。絶叫系は得意でも苦手でもないんだけど、久しぶりだから緊張しちゃってさ…」
不安げにそう言うと悠がクスクス笑った。
「なんだよ、こっちは本気で言ってるんだぞ」
少しムッとすると悠は「ごめんごめん」と笑った。
「ふふ、颯人っていつもは気丈でしっかりしてるけど、そう言う側面もあるんだなぁって思ってさ。俺としては颯人のそういう面も知ることができて嬉しいよ」
「確かに今まで俺たちってお互い陸上が主な関わりだったからな。悠の走り方のフォームとか癖とか沢山見てきたけど、私生活のことは知らないな」
そうだよ、そういうことが知りたいんだ。俺たちは陸上ばかりでお互いのことを実はあまり知らない。今回のデートだってそれが目的でもあったんだ。
もっと悠のことを知りたいし、恋人らしいことをしたいんだ。
悠は俺のそんな想いに気づいてくれただろうか。
確認しようとしたら、係の人に案内されてしまい聞けずじまいだった。
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