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頰を汗が伝う感触が気持ち悪くて、顔を上げた。
少し離れたアイス屋台に悠がひとりで並んでいる。後ろに並んでいた女子高生二人組に早速絡まれていた。悠は困ったような顔をして微笑みながらあしらっている。
馬鹿だな、あいつも。
そんな笑顔ですら彼女たちを魅了していることにまるで気づいていない。自分の魅力をいまいちわかっていないんだ。
あー、やだな。
俺って凄くめんどくさいじゃん。
嫌気がさして再び俯きかけたとき、頭上から声が聞こえた。
「ねえ、君ひとり?かわいいね」
驚いて顔を上げると、チャラめの男子大学生らしき三人に囲まれていた。
どうして俺はこの人たちに絡まれているんだろう。ナンパっていっても俺は男だし…。
「あ、あの…」
困惑している俺を恥ずかしがっていると勘違いしたのか、俺に最初に話しかけた茶髪の男は馴れ馴れしく俺の隣に座って肩を組んできた。
「俺たち暇してるからちょっと付き合ってくれないかなーって。大丈夫、怪しいやつじゃないから」
「いやそうじゃなくて…」
困惑していると、三人のうち一人の金髪の男が俺の顔をまじまじと覗き込んだ。
「もしかして…きみ男…?」
「え、まじ?」
茶髪の男は驚いたように俺の顔を見つめ直す。
「あ、はい。男なんで…一緒にいても楽しくないかと。じゃあこれで…」
男だって分かってもらえたことだし、退散しようとしたら腕を掴まれた。
「いや、きみ男だけどめっちゃ可愛いからさ。全然アリ。俺たちと楽しいことシよ?」
俺は再び三対のニヤついた目に囲まれた。
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