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三人の男が俺ににじり寄ってくる。距離を取りたくても、俺はベンチに座っているため後ろに下がれない。
つまり、逃げられない。
ついに俺の右腕を掴まれた。
「いいじゃん、行こうよ。大丈夫、楽しいことしかしないから」
「そうだよ。この遊園地の駐車場に俺たちの車止めてあるからさ」
そう言いながら俺の肩を組んでいた茶髪の男は、グイッと顔を近づけた。吐息がかかりそうなその距離に、鳥肌が立つ。
もう無理、気持ち悪い。吐きそう。
「俺っ、向こうに連れもいるので!ごめんなさい、離れてください」
「まあまあ、初めての子はみんなそう言うんだって。慣れればなんともないから」
「えっ」
腕を引っ張る力が強くなり、無理やり立ち上がらさせれてしまった。そのまま出口の方へズルズルと引きずられる。
三人がかりの圧力に一人の俺が勝てるわけがない。
「助けて」と声を上げようとしたそのときだった。
「俺の連れに、何か用ですか」
茶髪の男の肩に、悠が手を置いていた。反対の手には器用に二本のアイスクリームが握られている。
三人の男を見る悠の目は、人を殺せそうなほど冷ややかだった。
「合意じゃないですよね。離してやってください」
悠はそのまま強い力で俺から茶髪の男を引きがはした。
三人の男は最初はポカンとしていたが、悠が男だと分かると再びニヤニヤし始めた。
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