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「この子の連れって君?男二人っきり?」
三人の男はニヤニヤと品定めをするように俺たちを見比べた。どこか、同性同士なのを蔑まれているように感じて怖くなった。
だが悠はそんな視線を気にすることなく、毅然とした態度を取る。
「そうですけど」
「君たち付き合ってるの?っていうか、お兄さんもめっちゃイケメンだねー」
「あなたたちには関係ないことなので。失礼します。…颯人、行くよ」
そう言うと悠は俺の腕を掴んで、茶髪の男から引き剥がした。そのまま歩いて距離を取る。
三人の男たちは、それ以上追いかけるような様子はなかった。
だが直後に背後から声をかけられる。
「君たちさー、気づいてないかもしれないけどさっきから凄く目立ってたよ? そのビジュアルもそうだけど……いろんな意味でね?」
ケラケラと笑いも含まれたその声に、ビクッと震えてしまう。やっぱり、目立ってたんだ。
「悠…あいつら、まだなんか言ってる…」
「無視して」
悠の歩みは止まらない。だが背後の声も止まなかった。
「男同士なんて目立つんだから、陰で遊べばいいものを。遊園地なんて日向の世界に来ても居心地が悪いだけだよ? …本人が一番わかってるんじゃないのー?」
今日1日の俺の本心を正確に突かれた。
心臓の奥の方がズキズキと痛み出す。
膝が震えて崩れそうになる。
だが悠はグッと俺の腰を支えた。
「……もう少しで静かに休めるところに着くから、そこまで頑張って」
「うん…」
「……ひとりで、よく頑張ったね。遅くなってごめんね」
その優しい声色に、目頭がジワっと熱くなるのが分かった。
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