「らしさ」

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すると悠は俺の身体をそっと優しく抱きしめた。そのまま耳元で囁かれる。 「恋人らしさなんてさ、周りに認めてもらうものじゃないと思うよ。自分たちが想い合っていて、お互いに満たされればそれでいいんじゃないかな」 「……」 「俺は現にこうして颯人の隣にいて、話して、抱きしめているだけで十分幸せだ。…周りの目なんてどうでも良いんだよ。颯人は何も不安にならなくていいから」 「どうして…」 「颯人が不安を感じる余裕もないくらい、俺が愛してあげるから。むしろそのくらい愛させて。だからさ、周りの目を気にする余裕があったら俺を見て」 そう言うと悠は俺に軽くキスをした。 触れたのは一瞬なのに、それだけで顔が熱くなって心臓がキュっとなるのが分かる。 そんな俺の様子を見て、悠はクスッと笑った。 「ちょっと幸せな気持ちにならない?」 「……なる」 そう返事すると同時に、今度は俺からキスをしていた。さっきみたいに触れるだけじゃなくて、舌を入れずに唇同時を食み合う。 悠のその動きに、食べられてしまうのではないかと思った。 だけど悠になら食べられてもいい。そう思える。 やがて唇がそっと離れた。 「きもち…」 思わず俺の口からそんな言葉が溢れる。その言葉に悠も返事した。 「俺もだよ」 「…こういう行為ってさ、ちょっと前まで気持ち悪いと思ってた。自分が他の人とやるのは想像できなかったし、したくもなかった」 「……」 「でも不純な目的だけじゃなくて、気持ちを確認し合う行為なのかもしれないって…今ちょっと思った」 「……そっか」 「俺さ……もっと、確認したい」
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