雅樹の葛藤

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「ほらっ、脱げ!」 「ちょ、お前セクハラだぞ!」 グイグイシャツを上に引っ張られる。シャツが伸びるから本気でやめろ。 「はいはい脱いだから引っ張らないで」 雅樹のいるバスルームに入る。雅樹は既に髪をしっとり濡らしている。先に洗うようなので俺は体を流してから浴槽に入った。 ぼんやりと鍛え抜かれた雅樹の肉体を見つめる。 「なんだよ、じろじろ見て」 「大きくなったなぁ…って思ってさ」 俺がそういうと雅樹がきょとんとした。 「お前は俺の親かよ」 「昔はさ、雅樹泣き虫で。しょっちゅう俺に泣きついてたよな。『はやとぉ〜、はやと』って。その度に助けてやると懐いてくるお前が可愛かったよ」 「どんだけ昔の話してんだ」 「それが今はこんなに男前になっちまって…。もう俺が助けられることなんて何もないな」 少しセンチメンタルな気持ちになっていると雅樹がムスッとした。 「…もう、いいから。背中流して」 「はいはい」 広く逞しい背中にお湯をかける。 「兄貴が思ってる程、俺は大人じゃない」 「え?」 水の音に紛れて雅樹の呟きが聞こえなかった。聞き返しても何でもない、と言われる。 「まあ偶にはさ、弟として甘えてもいいよな」 「おっおう、いいぞ!どーんと甘えろ!」 どうしたんだろう。雅樹が急にデレだした。滅多にないことなので戸惑いが隠せない。 「じゃあさ、抱いていい?」 「は?」
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