雅樹の葛藤

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「馬鹿だよね兄貴は」 「おう馬鹿じゃないぞ」 雅樹が俺の腰をスルリと撫でる。なぜかその感触にゾクゾクした。 「細くて白い腰…」 「しょうがないだろ、長距離だとマッチョにはなりにくいんだ」 「わかってるけどさ俺は不安だよ」 何だその意味深なセリフ。しかもさっきから相変わらず手つきが怪しい。 「不安って何が」 「悪い男に襲われないか?」 「襲われねーよ、俺だって男だ」 「本当に?」 その瞬間雅樹が俺を床に押し倒す。頭を打たないように、さり気なく頭を手で抱えられたまま。 「こうやってさ、押し倒されたらどうすんの」 「んなの抵抗して抜け出せばいいだろ」 「やってみなよ」 両手を縫い止められているため自由が効かない。しかも足の間に雅樹の足を差し込まれた。ここはバスルームでお互い裸なため、兄弟じゃなかったら少し変な気分になるだろう。 だが俺は必死に抵抗する。 「っん、ふぅ…くっ、あ」 「……」 「んぅ…っ…。…ごめん、無理だ。抜け出せない」 素直にそういうと雅樹は手を緩めて解放してくれた。俺はゆっくりと起き上がる。 「これでわかっただろ俺の言ってた意味が」 「……」 「こんな無防備に俺の学校にのこのこ来たら、襲われてもおかしくない。俺の学校なら尚更だ。そういう学校だから」 そう言って雅樹は俺の頭を優しく撫でた。
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