再び遭遇

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家に帰ると丁度雅樹が風呂から上がったところだった。見事なシックスパックが眩しい。 「ただいま」 「おう」 雅樹はそのままタオルでガシガシと髪を拭きながらソファーに座った。俺も今日は疲れたのでどっしりと座り込んだ。 すると雅樹がテレビを見ながら呟いた。 「今日突然陸上部のエースみたいな先輩がうちの教室に来た」 「ほう」 「しかも目的が俺だった」 「なぜに」 スカウトか?なんて呑気に思ってた。 「兄弟がいるかってしきりに聞いてきたよ」 「は?」 「『蒼井颯人って人を探してるんだ』って。苗字が同じだから俺のところに確認しに来た」 ちょっとまて。 背筋がゾッとする。心当たりは…ない、のか? そこで雅樹を訪ねたのが‘陸上部のエース’であることを思い出した。 まさかな…出来過ぎじゃないか。 「それってちなみに…」 「氷室悠って人」 うわああ… やっぱり… 弟は水泳の強豪校に行くために県外の高校に通っている。どんな偶然だよ。 「それでいますって言った」 ば か も の ! たった一回の合宿で会っただけでそこまでするか? そもそも何がしたいんだ。 俺の考えすぎだと思っていた。 この時の俺には何もわからなかった。
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