まさかの合同練習

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氷室はやはり速かった。 俺も速くなったけど、氷室だって速くなってた。当たり前だろ。 だが俺は想像以上にショックを受けていた。 やはり、氷室は天才なのかもしれない。俺の長年の努力が「天才」の一言に打ち負かされるのは納得がいかない。でもその言葉でしか解決できないほど氷室は速すぎた。 せっかくの合同練習なのに、ショックに打ちのめされているといつのまにか練習も終盤に差し掛かっていた。 「やっぱ氷室は速いな。でもお前だって負けてないぞ」 「はは…」 遊佐先輩がどさくさに紛れて俺をフォローする。でも俺も力なく笑うだけで気は紛れなかった。 こんなことは初めてだ。 いつだって俺は速かった。小さい頃から徒競走では一番、陸上部ではエース、高校では強化指定選手。華々しい陸上人生を歩んできた。 俺は今初めて挫折を経験している。 でも本番は近いし落ち込んでいる暇はない。 挫折はいずれ経験しなければならないことだ。 まだまだ練習がいる。おれはまだまだ伸ばせる。 やることが山積みだ。
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