まさかの合同練習

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毎日、氷室の走りを見る。 それを見るたびに募るのは焦りばかりだった。今度こそ氷室に勝ちたい。練習する。焦る。練習する。焦る。 その繰り返しだった。 「ちょっとは休んだらどうだ?」 「あと少しだけです」 「…程々にしろよ」 顧問からも心配そうな声がかけられた。後輩だって、遊佐先輩だって、遠くから俺を不安そうに見つめている。それにはもちろん気付いている。 だが目の前に現れた氷室という巨大な壁を前にして、余裕ぶっこいていられるほど俺は強くなかった。 そんな俺の異様なオーラを前にしてか、氷室の絡みは次第に少なくなっていったが無くなったわけでもなかった。 少なくとも1日一回は話しかけられる。だがあくまでも、少なくともだ。もっといっぱい話しかけられる日だってある。しかもその話は陸上や練習に関する話ではなく、俺個人に絡んでくるもの。 「ねぇねぇ、向こうで一緒に休憩しない?」 「また俺の家に遊びにおいでよ」 「蒼井、また可愛くなったよね」 てきとうにあしらう事で流してきたが、そろそろキレそうだ。こいつは空気が読めないのか?
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