まさかの合同練習

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遊佐side 蒼井の様子がおかしい。 今部員の中ではこの話題で持ちきりだった。氷室が来てからというものの、蒼井はかつてなく焦ってるし、自分を追い込んでいる。 それは俺たち周りの目から見ても明瞭だった。 蒼井が壊れてしまうんじゃないかと不安で、積極的に休憩を促したり水分補給を勧めたりしているけれど、どれほど聞いているのだか。 OBの俺でさえ遠慮してしまうのに、後輩から声をかけるなんて無理な話だった。 顧問だって気を遣って話しかけたけど蒼井の心は解れないようだった。 何か、鬼気迫るような。 そんなオーラが蒼井を包み込んでいる。 なぁ蒼井。 何がお前をそんなに駆り立てるんだ? 確かに氷室は速いさ、あれはきっと才能だ。でもそんな奴お前ほどの実力があれば今までごまんと見てきただろう。今までの奴らと氷室は何が違うんだ? 俺にはわからない。 それとも私的な事情があるのか? それについては思い当たる節があった。 俺が蒼井に話しかけるたびに、鋭い視線を感じていた。 それは明確な敵意。 その視線の元を辿るとその先にはいつも氷室がいた。 俺を射殺さんばかりに睨みつけているが、目が合うとすぐにそらしてしまう。最初は気のせいだと思ったが、最近は流石に気のせいでは済まされないレベルになってきている。 そして極め付けは今日、蒼井が怒鳴ったこと。 怒鳴り散らしたあと、本人も気まずそうな顔をして走り去ってしまった。 一方怒鳴られた氷室はというと、その後平然と練習していた。まるで何もなかったかのように。 俺はそれが無性に怖かった。
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