2398人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
放課後のロッカールーム。
部員は気を遣ってくれて、昨日のことは無かったかのように接してくれた。
でも申し訳なかったから謝ったら、いいんですよ、とみんなわらってくれた。
いい後輩を持ってよかった。
練習着に着替えてトラックに出る。ミーティングをしてストレッチをしてしばらくすると海明高校が来た。
当然、氷室がいる。
チラッと視線があった。無性に緊張する。
「あっ、あのさ、昨日は…」
「…」
「ごめん…」
氷室から何の言葉も発せられない。それどころかずっと無表情だ。
「いいよ、別に」
一目で作り笑いだとわかる笑みを浮かべて素っ気なく氷室は立ち去った。
…あれ?
何だ今の反応。
思ってたのと違った。氷室のことだからもっとすんなり元の雰囲気に戻ると思っていた。
そりゃ、おごりがなかったとは言えない。
氷室の好意からすぐに許してくれるんじゃないかとは少し思っていた…けど。
あの冷たい態度に俺は動揺していた。
何でこんなに傷ついているんだろう。氷室に距離を置かれたことが無性に悲しい。
俺のこと許してないのかな。
それなら仕方ないのかな。
氷室が距離をおきたいというのなら、俺もそれに従った方が良いんだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!