再び遭遇

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「お前、名前だけしか教えてないだろうな…」 すると雅樹は少し考えるような仕草をした。 「兄貴の学校も流れで教えたかも」 こういうやつだと思いましたよ。やっぱりね。個人情報ダダ漏れじゃないか。 「ちょっと俺そいつ苦手でさ。あまり俺のこと話さないでくれると嬉しいんだけど」 「兄貴がそんなこと言うの珍しいな」 「合宿で会ったんだけどその時からさ」 「…なんかされた?」 思わずギクっとした。雅樹は少し心配性なところがあるから。昔俺関係でイザコザがあった時も過剰に介入してきた。 「心配してんだよ。兄貴は天然で無自覚だから」 「無自覚って何が」 「そういうとこだよ」 そのまま雅樹に髪をくしゃくしゃと撫でられた。 「やめろって、まだ風呂入ってないから汚い」 撫でる手を振り払って風呂場へ向かった。 熱い湯を頭からかぶると髪の根本が解れるような感じがした。鏡にシャワーをかけると裸の俺が映る。 生白くて細い体。外部活なのに体質から焼けない。夏に褐色に焼けるチームメイトがいつも羨ましい。唯一気に入っているのはクセのないこげ茶の髪。この髪色で染めてるのか何度も聞かれた。 でも本当は短髪にしたいけど毛が細いから似合わない気がする…。 風呂から上がると雅樹はもういない。 今日の走り込みの疲れがどっと出てベッドに倒れ込んだ。
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