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「どうしたの、調子悪い?」
休憩時間に一人で蹲っていると遊佐先輩が話しかけてきた。手にはスポーツドリンクが握られており、俺にそれを静かに差し出す。
「ありがとうございます…」
受け取って少し口に含んだ。
遊佐先輩はニコニコと俺を見つめている。
「ちょっと前まで焦って苛立ってたと思えば、今度はひどく落ち込んじゃって。どうしたの」
「……」
「氷室のこと?」
やっぱりバレてた。少し気恥ずかしくなったが俺は黙って頷いた。
「俺に少し話してくれない?」
遊佐先輩が優しく俺の背中を叩く。
その安心感に、全てを委ねてしまいたくなった。
「俺、今度こそ氷室に負けたくなくて…」
「うん」
「凄い焦って練習してたんですけど、その苛立ちを氷室にぶつけてしまったんです」
「怒鳴ってたもんね」
「はい…。そしたら氷室とギクシャクしちゃって、練習がすごくやりにくくて、メンタル面にも影響しそうで…。自業自得だけど本当に後悔しているんです」
「そっか」
実際、俺から距離を置いているのは氷室だけじゃなかった。表面では普通に接しているように見えても、俺の雰囲気に気圧されてか、みんな遠ざかっている気がした。
とどのつまり、俺は少し部活で孤立していたのだ。
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