まさかの合同練習

17/41

2398人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
「気持ちは収まった?」 しばらくすると遊佐先輩が俺の背中をトントンと叩いた。大分吐き出せた気がする。 「はい…大丈夫です」 家族以外にここまで弱っている姿を晒したのは初めてだったから、冷静になると少し恥ずかしかった。 だが誰かに吐き出せたということが今は大きかった。 「また辛くなったらいつでも俺に言っていいから。的確なアドバイスは出来ないかもしれないけど、聞くことだけはできる」 「……」 「な?」 「…はい」 じゃあ練習に戻れ、と優しく背中を押してくれた。 「ありがとうございました」 「おう、練習頑張れよ」 遊佐先輩は爽やかな笑顔を俺に向けた。眩しい。 遊佐先輩に気持ちを吐き出せて気持ちが大分楽になった。 氷室との関係は相変わらず上手くいかないままだが、その度に少しずつ遊佐先輩に相談するようになった。 だから前のように落ち込むことはなく、精神面を安定させることができた。 そのせいか調子がだんだん戻ってくる。 「ベストタイムでたそうじゃん。やったな!」 「はい!ありがとうございます!」 メキメキ調子が上がり、遊佐先輩にも褒められた。 嬉しくて俺は思わず遊佐先輩に抱きつく。それに遊佐先輩は笑って抱きしめ返してくれた。 いい感じだ。この調子で行けば本番も…。 そんなこんなで俺と遊佐先輩は更に仲良くなったのだった。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2398人が本棚に入れています
本棚に追加