2398人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
「気持ちは収まった?」
しばらくすると遊佐先輩が俺の背中をトントンと叩いた。大分吐き出せた気がする。
「はい…大丈夫です」
家族以外にここまで弱っている姿を晒したのは初めてだったから、冷静になると少し恥ずかしかった。
だが誰かに吐き出せたということが今は大きかった。
「また辛くなったらいつでも俺に言っていいから。的確なアドバイスは出来ないかもしれないけど、聞くことだけはできる」
「……」
「な?」
「…はい」
じゃあ練習に戻れ、と優しく背中を押してくれた。
「ありがとうございました」
「おう、練習頑張れよ」
遊佐先輩は爽やかな笑顔を俺に向けた。眩しい。
遊佐先輩に気持ちを吐き出せて気持ちが大分楽になった。
氷室との関係は相変わらず上手くいかないままだが、その度に少しずつ遊佐先輩に相談するようになった。
だから前のように落ち込むことはなく、精神面を安定させることができた。
そのせいか調子がだんだん戻ってくる。
「ベストタイムでたそうじゃん。やったな!」
「はい!ありがとうございます!」
メキメキ調子が上がり、遊佐先輩にも褒められた。
嬉しくて俺は思わず遊佐先輩に抱きつく。それに遊佐先輩は笑って抱きしめ返してくれた。
いい感じだ。この調子で行けば本番も…。
そんなこんなで俺と遊佐先輩は更に仲良くなったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!