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氷室side
距離が、近い。
遊佐さんと蒼井は今日もベタベタしている。俺に避けられて戸惑っているから遊佐さんに懐いているのはわかる。だがこんなつもりじゃなかった。
蒼井に怒鳴られた時、押してダメなら引いてみようと思った。
不自然にならない程度に蒼井を避けていると、蒼井が悲しそうな顔をするのが分かった。
俺だって蒼井にこんな顔をさせたいわけじゃない。いつも俺の腕の中で笑っていて欲しいと思う。
だけど正攻法じゃお前は堕ちてこない。
そうだよ、そうやって俺をずっと意識すれば良い。俺が片時も蒼井を忘れられないように。
だが邪魔が入った。
遊佐さんが慰めたことで蒼井が遊佐さんに懐いたことだ。
泣いている蒼井を慰める遊佐さんには思わず殺意を覚えた。
あの人、自分自身でも自覚してないかもしれないけど、絶対蒼井に気がある。
子猫のように純粋無垢な様子ですり寄る蒼井は可愛いだろう。今日もデレデレだ。
その笑顔、俺に向けさせたいのに。
これは何とかしないと…。
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