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蒼井side
「蒼井先輩お疲れ様です!」
後輩が練習後にタオルを渡してくれた。自分のとついでに取ってきてくれたらしい。些細な気遣いが嬉しかった。
はにかみながら「ありがとう」と受け取る。
すると何故か後輩の顔が赤くなった。笑顔が変だったのかな。
持って来てくれた後輩の周りには他にも数人の部員と、それと海明高校の選手がいた。
合同練習を通して彼らも仲が良くなったのだろう。
「いつもわざわざうちの学校まで来てくれてありがとう。ごめんね」
俺が言うと海明高校の選手は慌てて首を振った。
「いや、全然大丈夫です!っていうか寧ろその…」
「寧ろ?」
「そちらから今回のお話があった時、一番乗り気だったのが氷室先輩で…。俺らが何かいう前にもう決定事項になってました」
「そう、なんだ」
「そうですね。本当に楽しみにしてましたよ。氷室先輩だけじゃなくて、俺たちも蒼井さんに会ってみたかったし」
「俺のこと知ってたの?」
「氷室先輩が毎日惚気てましたから。蒼井さんは努力家で才能もあって、なにより可愛いって」
それを聞いて俺は何故か顔が急に熱くなった。真っ赤になっているのが自分でも分かる。
「だから、俺たちが言えることでもないんですけど、氷室先輩がそう思ってたことも知ってあげてください。蒼井さんとの合同練習、本当に楽しみにしてたんです」
海明高校の選手も、俺たちがギスギスしていることが分かっているのだろう。
彼らにまで気を使わせてしまって本当に申し訳なかった。
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