3743人が本棚に入れています
本棚に追加
「そ、そうなんです! 貴方との子……あっ!」
反射的に小さな悲鳴を発した。言い終わる前に、視界が後方にグラついたからだ。誉の身体は柔らかなソファへとゆっくりと沈んだ。
(――え?)
何が起こったと、目を丸くした。眼鏡越しに映るのは白い天井と……。
「――誉さん、そんなに俺が欲しかったのですか?」
雄欲を滲ませた藪中の顔だった。
「へっ?」
訳がわからないと、見下ろしてくる番に向かって瞬きを繰り返した。
「いいですよ。でも極力、優しくしますね。もしかすると……ねっ?」
意味深な笑みを覗かせながら、藪中は素早い動作で自らのネクタイを抜き解いた。上質な衣擦れの音がやけに大きく聞こえた。
「ちょ、ちょっと、藪中さん……?」
彼は少し勘違いをしているようだ。しかも、マズイ展開になっている。
「誉さんって、意外にエッチですよね……いつも俺を物欲しそうに見てる。嬉しいです」
頬を引き攣らせていると、藪中は喜色満面で言った。どうやらこの男は誉が欲情したと思い込んでいるようだ。
「はっ!? 貴方何を言って……はぅ、あっ……ん!」
聞き捨てならない。
しかし、反論しようとした声は色付いた喘ぎで飛んでしまう。藪中が両手を使って誉の薄い胸板を撫で繰ってきたのだ。猥りがわしい手付きだった。
「ああ、服の上からでも膨らんでいるのがわかりますね。コリコリしてます」
指腹で胸の突起を何度も柔く擦られた。
「っはぁ……っ、やだ、待って……お願いっ、ああっ、ん!」
たったそれだけなのに、臍裏がキュンと疼いた。尻奥の器官が怖いくらいに反応していた。誉は過剰なほど身体をビクつかせて悶えた。
最初のコメントを投稿しよう!