3743人が本棚に入れています
本棚に追加
誉は吐露し続けた。
「状況や体調はちゃんと見極めて働きますし、お腹の子は何が何でも私が護りますから、ですから……」
「……私が?」
藪中の眦がピクリと動く。
「はい、護ります……絶対に元気な子を産みます」
強い意志を表明した。しかし、それはすぐに否定される事となる。
「――誉さん、それ間違っていますよ」
厳しい口調で言い放たれた。瞳にも鋭さがあった。怒っているようにも感じる。
「な、何がです?」
誉は強張った顔で問い返した。すると――。
「誉さんと俺の子なんだから、二人で護るんでしょう?」
険しさから一変、藪中は双眸を柔らかく細めた。
「ふ、二人で?」
「そうでしょう? 確かに、お腹の中で命を護るのは誉さんだけど、そんな誉さんを全身全霊で護るのは俺しかいない」
「っ……」
確かな包容力と男らしさに誉は喉の奥で声を震わせた。
「絶対に産みましょう。何があっても俺が護りますから。でも、無理はしない事。安定期に入るまで、休む時は休む。お腹の子を第一に行動をして欲しい。この全てを約束してください……いいですね」
「藪中さん……っ」
理解を示してくれた番の胸に、誉自ら飛び込んだ。その身体を藪中は愛情いっぱいに抱き止めてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!