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「コリコリしてるのわかります? これ、誉さんの子宮まで届いてる証拠なんですよ……赤ちゃん、楽しみですね」
「っ――!!」
荒くて熱い吐息が耳朶を擽った。
なんて事を言うのだこの番はと、誉は掠れた喉で息を呑んだ。そう、彼は昨夜も宣言していた。
「確実に孕ませます」と――。
(私は、このまま本当に……?)
受胎率が上がる発情期の情交。オメガとして愛しいアルファの子を腹に宿される。いや、もう宿しているに違いない。それでいいと、その覚悟は十分に出来ていると、誉は背後にいる藪中へと熱っぽい視線を送った。
(ああ、藪中さん……)
彼がもっと欲しい、もっと奥にアルファの雄液を注いでほしいと、誘う雌のようにして誉は切れ長の瞳を細めた。壮絶な色香だった。
「っ、そんな瞳で見られてたら、俺……っ!」
藪中が雄の唸りを上げた。劣情に堕ちたようだ。発情にあてられたアルファへと完全に豹変したのだ。彼は誉の身体を反転させるや否や、真正面から思い切り腰をぶつけてきた。大きな淫嚢が会陰部にめり込み、凶器と化した生雄が熟れた隘路を抉って進む。その猛々しさは怖いくらいで――。
「はぁ……ぅ……! っん、あぁぁぅ――――ッ!!」
甘い絶叫が真昼間の寝室に轟いた。何もかも狂いそうな粘膜の摩擦が肉襞を潰しにかかる。藪中の好き勝手に内部は掻き混ぜられていった。
「誉さん、もっと、もっと俺を欲しがってください……っ。俺はもう、貴方しかいらない!」
若くて直向きな愛情がぶつかってきた。誉は応えるようにして両腕を伸ばすと、唯一無二の番を抱き寄せた。隙間ない抱擁の中、逞しい背中にしっかりとしがみ付いた。そして――。
「藪中さん……路成さんっ! 好き……大好きです、私も貴方だけ……っ!」
全身全霊で返した。藪中路成以外に誰がいるのだと。この男こそ、自分の運命で、愛すべき番なのだ。
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