李典伝

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袁紹(えんしょう)。 対袁譚(えんたん)袁尚(えんしょう)。 対劉備。 2-1. 時太祖與袁紹相拒官渡,典率宗族及部曲輸谷帛供軍。紹破,以典為裨將軍,屯安民。太祖擊譚、尚於黎陽,使典與程昱等以船運軍糧。會尚遣魏郡太守高蕃將兵屯河上,絕水道,太祖敕典、昱:「若船不得過,下從陸道。」典與諸將議曰:「蕃軍少甲而恃水,有懈怠之心,擊之必克。軍不內御;苟利國家,專之可也,宜亟擊之。」昱亦以為然。遂北渡河,攻蕃,破之,水道得通。劉表使劉備北侵,至葉,太祖遣典從夏侯惇拒之。備一旦燒屯去,惇率諸軍追擊之,典曰:「賊無故退,疑必有伏。南道狹窄,草木深,不可追也。」惇不聽,與於禁追之,典留守。惇等果入賊伏里,戰不利,典往救,備望見救至,乃散退。 (訳) 太祖が袁紹(えんしょう)官渡(かんと)で対峙した時、 李典は宗族及び部曲を率いて 穀物と(きぬ)を輸送し、軍へ提供した。 袁紹が破られると 李典は()將軍に任命され、 安民(あんみん)に駐屯した。 太祖が袁譚(えんたん)袁尚(えんしょう)黎陽(れいよう)に撃った際、 李典、程昱(ていいく)らに船で 軍糧を運搬させた。 その折、袁尚は 魏郡太守の高蕃(こうばん)に兵を率いさせて 河上へと駐屯させ、 水道を絶たせており、 太祖は李典と程昱に 「もしも船で通過できないようならば 陸路に従って下れ」 との勅言を下した。 李典は諸将と商議して、言った。 「高蕃軍は武装兵が少なく、 水を恃んで懈怠(かいたい)の心を有しておるから (油断しきっているから) 攻撃すれば必ずや勝利できよう。 ※軍は内より御する事は出来ず、 (いやしく)も国家に利があらば 専断もやむなし、 速やかに攻撃するべきであろう」 (将も外にありては君命を 奉ぜざるところあり……と ほぼ同じニュアンスか) 程昱もまた李典の意見に賛同し、 かくて北方へと渡河して高蕃を攻め、 これを撃破して 水道を開通させる事に成功した。 劉表が劉備を遣わして 北部を侵犯させ、(しょう)へと至ると 太祖は李典を夏侯惇(かこうとん)に従軍させて これを阻ませた。 劉備は一旦屯営を焼いて去って行き、 夏侯惇はそこで諸軍を率いて 追撃しようとしたが、李典が言った。 「賊がわけもなく退却したからには まず間違いなく伏兵の用意が 有る事が疑われます。 南の道は狭窄にして 草木が深いのです、 (兵を埋伏させるのに適した地形で) 追撃してはなりませぬ」 夏侯惇は聞き入れず 于禁(うきん)とともに劉備を追撃、 李典をその場に留めて守らせた。 夏侯惇らは果たして 賊の伏勢の中に入り込んでしまい 戦況は不利となった。 李典が救援に向かうと、 加勢の出現を望見した劉備は そこで退却していった。 (註釈) 官渡の戦いと、 袁譚・袁尚戦では 李典は輸送を担当しています。 ベテランの程昱と 若手の李典を組ませる人事が ナイスですねぇ。 状況判断も的確です。 官渡・倉亭が終わった後の 203年、博望坡(はくぼうは)の戦いでは 夏侯惇の副将として 劉備との戦いに臨んでいます。 伏兵がある事を読んでいる李典も 加勢が現れたらさっさと 逃げてしまう劉備もさすがです。 カプコンのゲーム、 「天地を喰らうⅡ 〜赤壁の戦い〜」 では、李典は1面のボスとして登場します。 2面のボスは夏侯惇。 演義に於ける博望坡の戦いを 再現したステージ構成になっています。
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