深夜、やってきたもの

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深夜、やってきたもの

 深夜、家族のだれもが寝静まった時間帯に菜々緒は珍しく目が覚めた。  高卒で就職してから日が浅く、疲れもそれなりに溜まっていたから、昨日は布団に入るなりすぐに寝つけたはずだ。  明日も仕事があるのだから早起きできたのは助かるが、まだ月が空に昇っている時間帯に起きるのは勘弁してほしい。 「……もうちょっと寝よ」  朝七時前までに起きていられればいいのだ。  だいたいそれまであと五時間くらいはあるのだから、疲れを癒すためにも二度寝を決め込んだほうがいいだろう。  と、菜々緒が誰に言うでもない『おやすみ』を口にした時だった。  ――ガシャン!!  突如として、一階で何かが落ちる音が聞こえてきた。
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