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◇翌朝◇
「ふぁぁぁぁぁああああ~~」
「あら、菜々緒。昨日は早めに寝たっていうのに、寝不足なの?」
菜々緒はリビングの中央に設置されたテーブルに座り、大欠伸をしているところを、苦笑する母親に指摘された。
「……うん。昨日二度寝しようとしたら起されちゃってさ……」
そう返しながら、菜々緒は非難の視線をテレビボードの上に向ける。
日の光が絶妙な角度で差し込むその場所で、居心地がよさそうに丸まって安らかな寝顔を浮かべる子猫の姿があった。
「あぁ~~。今日は、菜々緒だったのね。一昨日は、確かお父さんで、昨日は私だったかしら。猫は夜になると活発になるとは聞いていたけど、起してくるのは勘弁してほしいわよね~」
結論を言ってしまえば、深夜の騒動の犯人はペットの子猫だった。
プラスチックのコップを落とし、扉を器用に開けて、遊んでくれる相手を探して徘徊していた子猫に、今回は菜々緒が被害にあったのだった。
「おかげで、今日は寝不足なんだけど……」
「まぁまぁ。でも、そういうところも可愛いじゃない」
「それは、そうだけどさ~……」
相も変わらず非難の視線を子猫に浴びせるも、子猫はまるで相手にもせず、ただ深夜徘徊していた分の睡眠時間を取り戻すかのように、安心しきった表情を浮かべて寝ているのだった。
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