◆男子校

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◆男子校

◆男子校  中学時代、初恋に胸ときめいた時間を過ごした僕にとって、男子高校という空間は、殺伐極まりないものだった。  早くも中学時代で青春が終わった・・そんな絶望に陥るくらいの感覚だった。  中学時代、ろくに勉強をしなかった自分が悪いのは分かっている。  ちゃんと高校受験の勉強をした者たちは、男女共学の公立高校に行って、青春を謳歌している。何度、そんな彼らを羨ましく見たことだろう。  こうなったら、ちゃんと勉強をし、いい大学に行ってやろう。  そう決めた僕は高校に入るなり、猛勉強を始めた。  こんな汗臭い場所とおさらばし、遅れた青春を取り戻そう。そう決めた。  それ故に、友人もあまり作らず、遊ぶこともしなかった。   高校一年、何とかやり過ごし、勉強に勉強を重ねた。  当然、恋もしていない。というか、その対象がいない。僕にとっての恋は中学三年の時に恋した女性で終わった。  初恋が、恋の始まりで終わりだ。  高校二年、我慢をし続け、勉強を続けた。  汗の匂い、その年頃の男子の特有の匂い。だれきった服装。がさつな行動。汚い言葉づかい。そして、飛び交う猥談に囲まれながら僕は日々を送った。  何も楽しいことはない。  両親は、若い頃は、女の子と遊ばず、同性の子らと遊ぶものだと、よく言っていた。  男の友人は一生を通じてつき合えるからだ。それは両親の信念みたいなものだ。  そう言われても、どのみち、女子との出会いなどなかったし、わざわざ同性の友人を作る気もなかった。  僕の目は、未来の大学生活に向いていた。友達作りも恋愛も、全ては大学に合格してからだ。そう決め込んだ。
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