◆公園

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 そう言うと、佐川はニコリと笑って、「分かってくれて嬉しいよ」と言った。  そして、僕を真顔で見て、 「僕のこと・・気持ち悪いかい?」と訊いた。  僕は首を横に強く振った。  確かに、僕の知らない世界であることに違いない。だが、それは佐川が望んだ世界ではない。姉の自堕落が招いた佐川の不幸だ。  陽が沈みかけ、少し風が吹くと、木立の葉がざわざわと揺れた。   その時だ。  ふわりと佐川の長い髪が揺れたのと同時に、僕の顔が佐川の両手で固定された。  そして、佐川はこう言った。 「自分からするのは初めてなんだ」  突然のことにびっくりした。佐川がキスをしようとしているのか、それとも他の何かをしようとしているのかも判断がつきかねた。  だが、すぐに佐川の両手の力は緩んだ。 「やっぱり、やめておくよ。こんなことをしたら、僕もあの男と同じだ」  佐川は、何かの諦めに似た表情で言った。  そして、「結構、君、いけてるんだよ」と言って微笑んだ。
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