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「そろそろ、行こうか」
佐川はすっと立ち上がり、お尻の汚れを払った。
すると、近くで遊んでいた幼い子のボールが、佐川の足元にコロコロと転がってきた。
佐川はボールを拾い上げ、
寄ってきた男の子に渡した。小学生になるかならないかの小さな子だ。
少し離れた場所から、男の子の姉のような女の子が、名を呼び、
「ちゃんと、お礼を言うのよ」と男の子を指導するように言った。
その様子に、佐川は天使のような笑みを浮かべた。
佐川の顔を盗み見ると、その目から涙が溢れていた。
佐川は、「僕は、汚れてるだろ?」
気のせいか、そう言っているように見えた。
そんな佐川に僕は言ってあげたかった。
「君は汚れてなんかいない・・」
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