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助けないわけにはいかない、と思って、佐川の元に寄ろうと思った瞬間、佐川の胸ぐらを掴んでいた男が、ずさーっと真横に倒れ込んだ。
佐川の長い髪が風になびいていた。
あれは、合気道の類なのか? そういや、佐川は武道を習っていると言っていたな。
と、ホッとしたのも束の間、他の二人が佐川を押さえ込んだ。
このままでは、佐川が殴られる!
だが、僕が出て行ったところでどうなる?
必死の選択が僕の頭を占めた。このまま見て見ぬふりをするか、割り込むか・・
その時、僕は佐川の天使のような笑顔を思い出していた。
あの笑顔を守らなければならない・・そう思った時には、僕の体は飛び出していた。
勢いで彼らの中に飛び込んだのはいいが、その結果はみっともないものだった。
僕は腹に数発、顔も何度か殴られた。回数は覚えていない。
気がついた時には、不良連中が立ち去った後だった。
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