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◆髪
◆髪
何ということをしてしまったんだ!
あれから、勉強が手につかない。
いくら美人顔でも、佐川は男だ。
あの日から、僕は激しい後悔に陥った。
あれは、気の迷いだ。衝動的に体が動いたんだ。
今度、佐川に会ったら謝ろう。悪ふざけが過ぎたんだ、と。
それに、後味が悪いことの一つに、佐川から聞いた姉の男の話がある。
僕は、佐川を女として見ていた男と変わらないのではないだろうか?
僕の場合、男子校という環境に身を置き、一般的な女性との接触が無く、佐川に女性美を見出して、佐川の唇を奪おうとしたのではないだろうか。
だが、振り返って考えてみても、そこに性的な興奮はなかった。それだけは言える。
ただ僕は美しいものに触れたかった。
僕だけのものにしたかった・・あるとすれば、そんな欲望だ。
自分の欲望の源を理解できぬまま、時間は過ぎていく。
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