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◆自主映画
◆自主映画
どうすれば、名塚を長く眺めていられるのか?
次第に僕は、教室や体育の授業だけでは満足できないようになっていた。
テレビの歌番組で「アキ」の出演をチェックして見たりしたが、やはり、違う。
テレビに映っているのは女の子だ。
短い間だったが、佐川との間に生まれた特殊な感情は、女性との間には生まれない。そう考えるようになっていた。佐川の退廃した姉を見たせいかもしれない。
男の方が美しい・・心も、体も。
自分が歪んでいるのは分かっている。だが、止められなかった。
名塚には、大山という小太りの友人がいた。小柄な少女のような名塚と大山は、全く違う体型。
それこそ、美女と野獣。いや、美少女と小熊に見えた。
どうして、こんな男が名塚と親しいのか?
憤慨のようなものを感じたが、二人は幼馴染らしい。いずれにしろ、大山が羨ましい。
そして、この大山という男は映画が趣味ということだ。家が裕福なのか、高額な機材を溢れる小遣いで購入し、自主映画まで作ってしまうというはまりようだ。
そして、つい最近、完成した映画は名塚主演だと聞いた。俄然、興味が湧いた。気がはやるのを抑えられなかった。映画を見てみたいし、その撮影現場も見てみたい。
いや、名塚を間近で見たい。
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