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一人は、佐川という生徒だ。
佐川は、誰もが目を見張る美形男子だった。
背が高く、大人の女性のように髪を長く伸ばし、その面立ちも瓜実顔で、目が大きく、いわゆる美人顔だ。
一番特徴的なのは、その長い髪だが、その頃、流行っている髪などには全く興味がない、そう感じさせる髪型だ。ストレートで肩より長い日本女性の古典的な髪型だ。
つまり、男の長髪ではなく、品のいい女性のロングヘアーなのだ。
佐川は、制服も自分の体型の合わせて新調している。体の線がくっきりと出ていて、それのせいで女性らしく・・いや、更に女性のように見えた。
どう見ても、女性にしか見えない。
背が高いこと、そして、胸の膨らみがないことを除いては女性なのだ。
少しの風でも流れてしまうような長く細い髪。女性のようなふくよかな体のラインではないが、すっきりと無駄のない体のラインだ。
噂によると、毎朝、通学の電車で女子高の子たちに声をかけられるらしい。更に大人の女性にも声をかけられるという話も聞いた。
僕には遠い世界の出来事だ。
通学の電車で彼を見かけると、近くに寄って話しかける女子高生。遠くから、うっとりするように眺めてる女の子たちが多くいた。
本来、同じ男子として、羨ましい限りのはずなのだが、
不思議と、そうは思わなくなっていた。
・・当然なのかもしれない。
あれほど綺麗であれば、男子という性別を通り越している。
異性にモテるとか、そんなレベルを超越しているように感じた。
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