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電話を切ったあと、キッチンに向かう。覗き込んだ冷蔵庫には、卵三つともやし、あとキムチが入っていた。
冷凍庫には昨日冷凍した豚肉があって、頭にすぐさま浮かんだのは豚キムチだった。
だけど、友達とはいえ仮にも男女二人で飲むのに豚キムチ出すとかどうなのって、そんなことが一瞬過る。
「…………」
……いやいや、ないない。
自分の考えに、思わず苦笑いが漏れる。
わたし達の間に、そういうものがないことはわたしが一番わかっている。
もしそんなことを考えたと知られたら、陽太に鼻で笑われるだろう。下手したら、引かれる可能性だってある。
頭を振ってくだらない考えを追い出し、材料を取り出す。豚肉を解凍している間に、器に卵を三つとも割り入れた。
だし巻き×大根おろしが至高だと思っていたわたしが、甘い卵焼き派になったのはいつからだっけ。
砂糖が入ってるせいで焦げやすい卵焼きを、注意しながら焼いていく。もやしと豚肉を順番に炒め、キムチをフライパンに投入したところで、インターフォンが鳴った。
一度火を止め、玄関に向かう。
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