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医者の矜持
今日も患者がひとり亡くなった。
僕が受け持っている患者はみな、共通の難病を患っている。長く生きることができないその病を抱えて、短い人生を終えて、そのときその患者は幸せなのだろうか。幸せな人生を送れたのだろうか。いつもそのことが気にかかっていた。
遺された家族も、大切な家族を喪って幸せであったのかどうか気にする人は多い。その気持ちはよくわかる。なぜなら、僕もかつて遺される側だったからだ。
僕がこの病気の研究をはじめてもうだいぶ経つけれども、なかなか治療に役立つような結果に結びつけられず先に進めない。それでも僕は諦めるわけにはいかないのだ。
治療法が見つかるまで病と向き合う。これは負けられない戦いなんだ。
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