大嫌いな親友へ

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私には、物心ついた頃から大嫌いな女がいる。 嫌いというよりも、天敵に近いのかもしれない。 その女は、何かにつけて私と張り合ってくる嫌な女で、とにかく私たちは昔から仲が悪かった。 相性は最悪なのに、なぜか彼女とは好みも興味を持つことも似ていて、男性の好みまで一緒だった。 私たちが初めて好きになった人は私を選んでくれたから私の勝ちだけど、その後に好きになった人は二人してフラれたから引き分け。 理科のテストは彼女の勝ちだけど、英語は私の勝ち。 学校のテスト、習い事、あげくのはてには好きな人の奪い合いと、気の休まる暇もなく私たちは勝負を繰り広げてきた。 好みや興味を持つことが似ていた私たちは進路も一緒で、高校大学と同じ学校に進み、ついには大学院を卒業した後も同じ研究室に入ることになる。 研究室に入ってからも私たちの勝負は続いたけど、教授から紹介された男性と彼女が結婚した時には、その男性をひとめ見てあまりにも好みだったから私に紹介してくれれば……!と苦虫を噛んだものだ。けれど、すぐに私も別の人との縁があり、結婚。 その後近い時期に出産し、お互いに母となってからも、私たちの戦いは続いた。 どちらが先に成果をあげるか、優れた研究結果を世に出すか。 同じ研究室で競い合い続け、子どもが中学校に上がった頃、彼女から治療方法が確立されていない難病にかかっていると聞いた。 「え……」 言葉もなく絶句した私を見て、彼女がおかしそうに笑ったことは今もよく覚えている。 「何その顔。同情してるの? 私が病気だからって、勝負の手を抜くのはやめてよ?言っておくけど、病気があってちょうどいいくらいのハンデだからね」 「当たり前!手を抜くわけないでしょう」 相変わらずビッグマウスの彼女に、私もいつものように言葉を返すと、彼女は安心したようにニヤリと笑った。
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