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「──お前、七中の櫻間だろ」
ズボンのポケットに手を突っ込んで、やや後ろの方で傍観していたヤツが突然話し掛けてきた。
俺が思わず足を止めて振り返ると、俺の後ろに居たヒサギちゃんも同じく立ち止まっていた。
「櫻間? コイツが?」
「櫻間って言ったら、条南高の不良ぶっ飛ばしたってヤツだろ? 本当にコイツかよ?」
口々に信じられないという様子で俺とヒサギちゃん──むしろ俺をジロジロと見てくる。
「俺は櫻間じゃないよ」
視線の痛さに思わずそう言ってしまうと更にそいつらはザワつきだした。
そりゃあそうなっても仕方ないだろう。
まだまだ15歳とはいえ、体格だけでみれば俺の方がヒサギちゃんより大きいし、俺でさえヒサギちゃんを初めて見た時に女の子かと思ったくらいなのだから。
どこからどう見ても、不良をやっつけた(!?)のは俺の方だと思われるだろう。
それより、なんでヒサギちゃんはそんな事をしたんだろう……。
当のヒサギちゃんはというと、面倒臭そうな冷めた視線で最初に話し掛けて来たやつを見ていた。
「──えっ、こいつ!?」
「こんな女みてぇなヤツが櫻間なのかよ!?」
瞬間、ヒサギちゃんの目が鋭くなったのを俺は見逃さない。
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