英雄、閑日月あり

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英雄、閑日月あり

拝啓 小暑を過ぎ、夏本番を迎えました。 腐界隈の皆様におかれましては、暑さに負けずご活躍のことと拝察いたします。 月日の移ろいというものは早いものでこちらに来て約二年が経ちます。 人の心の移ろいというものも早いもので、素敵な殿方ばかりで誰も選べずに悩み、全ての殿方のお心を頂こうと選択したことが遠い昔のことのように感じられます。 そして今、またその中の誰でもない別の殿方に恋しております。 お名前も分からず、顔もハッキリとはわからないお方をこんなにもお慕いしたのは初めてのこと。 どうしたら良いものかと日々、頭を悩ませております。 しかし、あの方の笑顔を見るとその悩みすら愛しく感じるのですから不思議なものです。 今の生活が幸せでないとは思っておりません。 ただあの方ともっと多くの言葉を交わしたいのです。 そして俺の想いも届けたいのです。 あの方との素敵な結末のために、今日も邁進していく所存であります。 そしてその後も続く二人の幸せのためにも… なんだか俺の近況ばかりの手紙となってしまいましたね。 ぜひ次の機会にはそちらの状況もお聞かせ頂けたら嬉しく思います。 海山の恋しい季節、お身体にお気をつけて夏を満喫してください。 拝具 佐野 陽
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