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雅「随分な反応だね。あぁ、もしかしてその文は僕にだったのかな?」
陽「違うし。ってか何で手紙ってわかった?」
雅「拝啓って見えたから」
陽「勝手に見んなよ」
雅「それをいうなら、サル君も僕の持ち物を勝手に持ち出しただろ?」
お前がいるときにお前の部屋なんかに入ったら、ただで返してもらえないことなどは…
全部全てまるっとお見通しだぁ!!
部屋を訪ねるごとに俺の乳首をこねくりまわしてくれたこと忘れたことなどないからな!
いや、この言い方だと『あなたとの情事が忘れられません』みたいに聞こえなくもないけど……そういうんじゃないからね、うんホント。
雅「僕に黙って持ち出して、いったいどんな悪いことに使ってるのかと来てみれば…」
陽「正しく使っておりますが、何か?」
雅は軽く笑うと『何も』とだけ。
くそー、いつも余裕綽々って顔しやがって。
でも、その心の内では俺に手を出せなくて悶々と狼狽えてるに違いない!
ヘイベイビー、俺のお乳が恋しいんだろ?
って、心の中で煽ってる場合じゃなかった!
こうしてる間にも俺の至福の一時が減ってしまっている。
陽「俺、用事あるから行くな!筆と硯、勝手に持ち出して悪かった。とりあえず後で洗って返すわ」
雅「えっ、サル君?こんな朝早くからどこに…」
雅の声を振り切って俺は玄関まで一目散に向かった。
玄関に着くと草履を引っ掻けて急いで飛び出す。
飛び出した先に邪魔者二号が待ち構えてるとも知らず…
陽「わぶっ」
?「うわっ、サルちん大丈夫?」
思い切りぶつかった相手はもちろんメインキャラの一人、弥太郎(やたろう)。通称ヤタ。
俺とそう変わらない体格のはずなのに何故か俺だけ吹っ飛ばされた。
俺のひ弱さに拍車がかかっているだと!?
弥「それにしてもそんなに急いでどうしたの?」
ヤタから差し出された手を素直に取って立ち上がった。
こいつはまだ気軽に触れ合える良いやつだ。
いや、他のやつらも良いやつではあるんだよなぁ。
現に助けてもらってきたし。
ヤタは一番友達っぽいやつだ。
年齢も三人の中で一番近いし、ノリも悪くない。
明るめの茶色い髪を黄色い紐で左寄りに結わいてる可愛い顔した弟みたいなやつだ。
攻略を一番後回しにしていたというのもあってそこまで関係は進んでいない。
だからといって全然油断はならない相手に変わりなかった。
こんなに人畜無害そうな顔をしておきながら下半身事情はかなり緩い、畜生絶倫野郎。
恐らく今も昨日よろしくやってての朝帰り。
だから下手にこいつとイベント発生させて関係が進んでしまえば、早々に危機的状況に陥ること間違いなしの危険人物。
さらっと交わすに越したことはない。
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