英雄、閑日月あり

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陽「悪い、大事な用あるから。ってか、お前早く風呂入った方が良いぞ。イカ臭い」 弥「イカ!?臭いって、おーいサルちーん、どこに…」 臭いを指摘されたヤタが自分の臭いを嗅いでるうちに脇をすり抜けてやった。 第二の試練も華麗に潜り抜け、やって来ました外への門。 ここを出れば愛しのあの人に会える。 今日は何だかここまでの道のりがやけに遠く感じられたなぁ。 その苦労があったからこそ今日はいつもより胸が高鳴っている気もした。 その胸の高鳴りを携えたまま、俺は門の外へと踏み出した。 ?「おや、おはようございます。今日もいい天気になりそうですね」 陽「おはようございます!」 踏み出したその瞬間、求めていた人の声が俺の心を舞い上がらせた。 こちらの方が今の俺が心をときめかせてる相手、お隣さんだ! 背は俺より少し高くて、少し長い髪を適当に束ねているそんな人。 お隣さんは正真正銘のモブらしく、お名前がありません。 なので俺は山田(仮)さんとしている。 何故山田(仮)さんかって? 隣と言ったら山田さんしか出てこなかったからだ。 そして相変わらず全然わからないそのご尊顔。 今日も今日とて眼鏡の鉄壁ガードは変わらない。 良く漫画とかアニメである、眼鏡を取ったらイケメンor美少女が現れるっていうあの眼鏡だったら俺の大好物なのだけど。 これはどう見てもモブキャラの顔はぼやかし作戦のための眼鏡に違いない。 でもいつかその顔を知る日が来ればいいなと思っている。 さて、今日はどの会話パターンがくるかな。 この山田(仮)さんはそんじょそこらのモブとは違う。 普通のモブの会話はせいぜいあっても3パターン。 しかしこの山田(仮)さんの朝の会話はなんと7パターン! 山田(仮)さん、凄いっしょ? 一週間被らずいけることもあるのさ。 やっぱり(仮)付けるの面倒になってきたからこっからは山田さんで。
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