同窓会

1/1
前へ
/10ページ
次へ

同窓会

「麻衣、ゆりちゃん来たみたいだよ」 階下から母の声が聞こえるのと同時にスマホが鳴った。ゆりから『到着!』のラインである。 今日は、中学校の同窓会。卒業して、20年での懐かしい再会になる。 幼なじみのゆりと一緒に行く約束をしていた。 昔からゆりが私を迎えにくる。20年前と変わらないパターン。ゆりは時間を守るタイプで、私はちょっとルーズだった。 中学生のころ、ゆりは毎日、ドライヤーでヘアスタイルをセットしてた。ちょっと癖毛が嫌だったらしい。私から見るととても可愛かったけど。背も高くスタイルもいい。どこか、お姉さん的な雰囲気を出していた。寝癖を水で濡らしながら登校してた私とは違った。 でも、今日は違う。私も早くから準備して今日は完璧。時間が余って何をしてゆりを待っていいのか分からず、何となくソワソワしてしていた。 別に出会いを求めているわけではない。でも、やっぱり高評価が欲しい。男子からも女子からも。それは、同窓会でのお決まりではないだろうか。そんな事を思いながら、終わったはずの髪の毛に再びドライヤーをあてた。 同窓会は10年前と同じ場所。時期もだいたい決まって1月3日だ。帰省してる子もいて出席率が良いらしい。 ゆりの助手席に乗った。ゆりはお酒が飲めないから今日はドライバーも兼ねている。 「今日って結局、何人ぐらい集まるんだろうねー」 私もゆりも実家を出て県外だから、あまり細かいことまでは分からなかった。 10年前と何も変わらない景色を感じながら、同窓会会場へと向かった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加