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同窓会
「麻衣、ゆりちゃん来たみたいだよ」
階下から母の声が聞こえるのと同時にスマホが鳴った。ゆりから『到着!』のラインである。
今日は、中学校の同窓会。卒業して、20年での懐かしい再会になる。
幼なじみのゆりと一緒に行く約束をしていた。
昔からゆりが私を迎えにくる。20年前と変わらないパターン。ゆりは時間を守るタイプで、私はちょっとルーズだった。
中学生のころ、ゆりは毎日、ドライヤーでヘアスタイルをセットしてた。ちょっと癖毛が嫌だったらしい。私から見るととても可愛かったけど。背も高くスタイルもいい。どこか、お姉さん的な雰囲気を出していた。寝癖を水で濡らしながら登校してた私とは違った。
でも、今日は違う。私も早くから準備して今日は完璧。時間が余って何をしてゆりを待っていいのか分からず、何となくソワソワしてしていた。
別に出会いを求めているわけではない。でも、やっぱり高評価が欲しい。男子からも女子からも。それは、同窓会でのお決まりではないだろうか。そんな事を思いながら、終わったはずの髪の毛に再びドライヤーをあてた。
同窓会は10年前と同じ場所。時期もだいたい決まって1月3日だ。帰省してる子もいて出席率が良いらしい。
ゆりの助手席に乗った。ゆりはお酒が飲めないから今日はドライバーも兼ねている。
「今日って結局、何人ぐらい集まるんだろうねー」
私もゆりも実家を出て県外だから、あまり細かいことまでは分からなかった。
10年前と何も変わらない景色を感じながら、同窓会会場へと向かった。
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