愛を食む

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 彼がいなくなってからどれだけの月日が経ったのかも私には分からない。もう部屋のものも傷んで、ひどい匂いを放つけれど、私にはそれを捨てることも出来ない。  彼と過ごしたこの家もボロボロになってきた。主人のいない家はすぐにあばら家になってしまう。  家も食べ物も変わり果ててしまった。変わらないものはこの窓から見える月だけ。  灯りの無い部屋を照らしてくれる。寒い心を、少しだけ温めてくれる気がするわ。 「今日は三日月ね。このガラス戸さえなければすぐにでも飛び出していくのに」  ああ憎い。つついたり引搔いたり、押したりしてみてもこの透明の板はびくともしない。
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