恋人が欲しいという欲望

揺れる

「…積極性じゃない？」

まだ暑さの残る帰り道、話題の切れ目な田中の言っていた疑問について思い出した俺は早田さんに聞いてみることにした。

早田さん女子だしわかるでしょ？という無茶振りに数秒頭を悩ませてから帰ってきた返答が上記である。

「積極性…」

正直期待していたよりありきたりな返答だ。

「田中くんにしろ、灰沢くんにしろ誰かれ構わずナンパしたりしないでしょ？」

「ナンパね〜」

俺は小石を蹴飛ばす。

確かに、お猿さんたちは可愛い子にみさかいなしに声をかけていた気がする。

だけど、あれは羞恥心に欠けていたお猿さんだからできたことだ。