横浜でお寿司

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横浜でお寿司

「春菜、起きないと」  うーん。今何時だろう? 「シャワー浴びよう」  そうだった、シャワー浴びないと。  春菜は目が覚めると重たい脱力感に襲われていて起き上がれない。 「あなたのせいだから」 「すまない。調子に乗りすぎたかな?」 「先にシャワー浴びて。後から行くから」 「無理するなよ」 「うん」  今日は、港の見える丘公園とか行きたいのよね。  体を頑張って起こすと何とかなった。だるいけど。 「敦、入るわよ」 「ああ」  お風呂に入ると湯船に浸かっている敦がいた。  シャワーを握ると頭から先に洗っていった。気持ちいい。  体を洗おうとしていると敦がスポンジを取り、背中を洗ってくれる。 「お詫びのつもり」 「ありがとう」  はい。とスポンジを渡される。 「また、やっちまいそうで怖いから後は洗ってくれ」  私はクスッと笑った。  また、湯船に敦は浸かった。 「おはよー」  かんながやってきた。 「よく、起きれたわね」 「目覚まし持ってきたからね」 「あー、あの強力なやつね」  通常の3倍の音が鳴るという目覚ましを去年、買ってあげたのだった。 「ぱぴこ、何か今日はやけにワルオじゃない?」 「そっかあ?合皮だからいいと思ったんだけど」  確かに横浜銀蠅さながらのワルオくんだ。 「まみこはいつも通り、乙女チックだね」  フリルがそこかしこに配置されている。よく、歳がわからないとかんなに言われる。 「ねえ、かんなの席と交換して」 「え?いいよ。まみこ眠いの?」 「うん」  寝ていかないと体がだるい。少しでも寝たい。 「今日はどこ行くの?」 「港の見える丘公園」 「えー、観覧車がいい」 「じゃあ、観覧車も乗ろう」 「やったね」  片付けてくる。と、かんなは部屋へ戻っていった。 「結婚したら優しく愛してあげるよ」  かんながいる時は手加減しないとヤバイわよね。 「毎日愛してあげるよ」  絶倫だったのね汗 「うーん、首筋からいい香りがするね」  ロクシタンのチェリーブロッサムの香水を付けていた。 「早く行きましょ」 「そうだな」  キャリーバッグに荷物を詰め終わっていたので忘れ物の確認をしてから部屋を出た。 「かんな、行ける?」  扉をノックした。 「行けるよ!」  ピンクのキャリーバッグを持って出てきた。  チェックアウトをして、車に急いだ。荷物が重い。 「敦、お願い」 「ぱぴこ、お願い」 「おうよ」  荷台に3人分のキャリーバッグを乗せていく。  扉を閉め、車に乗り込んだ。 「着いたら起こしてね」 「りょ」  車は走り出した。 「観覧車だあ」  かんなは大喜びだ。 「3人で座ろう」  かんな、いいの?  チケットを買うとすぐに順番が回ってきた。 「いらっしゃいませ」  チケットを切り取り、半券をくれた。  意外と広い観覧車だ。 「見えるよ。あそこが…」  親子に見えるのかな。  私は嬉しかった。 「お腹すいたね」  赤レンガまでまた来ていた。  かんなはかなりお腹が空いているようだった。 「和風がいいね」とかんな。 「ラーメン食べたい」と敦。 「イタリアンよ」と私。 「お寿司食べよう」  かんなは決まり!て感じで車の方に向かっていく。 「仕方ないね」  私と敦は笑った。  海岸沿いを走っていると回転寿司が見えた。 「入ろう」  車は、駐車場に入って行った。  ずらっと人が椅子に座っていた。 「どうする?」 「待つう〜」 「じゃあ、並ぼうか」  タッチパネルを押して発券した。  30分待ちかな。といった感じ。  敦のスマホが鳴った。 「もしもし…」  話しながら外へ出た。 「ぱぴこ浮気?」 「何言ってるのよ、店内で話すわけいかないからよ」 「へー」  敦は10分程して戻ってきた。 「参ったよ。取引先とトラブったらしくてさ。明日は菓子折持って謝罪しないとだ。今日、来れないかって言われたが無理だから明日にしてもらった。たくっ、あのトラブルメーカーめ」  敦の仕事は、日産の相談窓口だ。 「ぱびこ、ファイト!」  かんなが小さくガッツポーズした。 「ありがとう、かんな」  敦は笑った。      
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