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はじまりの体操
■広場で子ども達がラジオ体操をしている。子ども達の洋服はボロボロ。広場の中心には黒服の男性が立っており、それを基準に子どもたちが踊っている。その男の顔はお客からは見えない。一通り踊り終わり、子ども達はその男にスタンプカードを貰いに行く。
黒服 今日も元気だな
子ども うん!これが一日の楽しみなんだ!
黒服 おぉそうかそうか!お前達、ラジオ体操は楽しいか?
子ども うん!だってスタンプもらえるから!
黒服 そうか、スタンプね。体操はやってて楽しい?
子ども 分かんなーい
黒服 そっか。分かんないか
子ども 変なのーねぇ早くスタンプ押して!
黒服 分かったよ!さぁお前達、1列に並べー
■広場にサイレンが鳴り響く。
黒服 まずい、連合だ!お前達、スタンプを隠して逃げろ!
子ども達 えぇースタンプ!スタンプ!
黒服 また今度な!お前達も早く隠れろ!
■黒服の男はスタンプを押すのを止め、一目散に逃げていく。
子ども達 待ってよ!先生!
子ども達 逃げろ逃げろ!!!
子ども達 連合が来たぞ!!!
少女 待って!スタンプまだ押してもらってない!
子ども達 逃げろ逃げろ!スタンプ奪われるぞ!
■大男が軍隊を引き連れて広場へやってくる。逃げようとした少女が転び、大男に見つかる。
大男 よぉ、クソガキ。
少女 う…
大男 お前ら、今ここでラジオ体操やってたよなぁ?
少女 や、やってないです
大男 嘘をつけぇ!!
■大男が殴りかかり、少女が吹っ飛ぶ。吹っ飛んだ拍子に少女の手からスタンプカードが落ちる。
大男 なんだ、もってるじゃねぇ~か。
少女 ま、まって!!それはウチが必死に2年間せっせと通い続けて溜めたスタンプだ!病気の母ちゃんの為に薬を買うスタンプなんだ!あともう少しで
大男 るっせぇな~そもそもここはラジオ体操禁止区域。お前、本当なら連合に報告してもいいんだぜ?
少女 そ、それは…
大男 今回はポイント取り消しで罪を免除してやろうってんだよ!
■大男の足にしがみつく少女
少女 お願いだよ!
大男 いい加減しろ!
■大男が拳を少女に振り下ろそうとする。
大男 うおわわぁああああ
■次の一瞬で大男が吹っ飛ぶ
少女 え?
■大男の周りにいた軍隊が構えるが、敵の姿が見当たらない。そして次々と倒れていく。
少女 何…これ?
大男 てめぇ、クソガキ…なにかしやがったな
少女 違う…私じゃない!!
大男 うるせぇ!!
■大男が少女に再び殴りかかろうとするが、少年が大男と少女の間に割って入り、大男の拳を受け止める。
大男 ガキ!?てめぇ、何のつもりだ!!
少年 ラジオ体操第三、壱の動き…脚踏(あしぶみ)!!
■大男が襲いかかろうとするが、一瞬で吹き飛ばされる。
大男 何が…起こった…
■大男、気絶
少年 …
少女 あ、あの
少年 …
少女 えーと、あの、助けてくれてありがとう…
少年 これ。
少女 あ!ポイントカード!本当にありがとう!!
少年 うん。
少女 凄いね!何が起こっているか全く分からなかったよ!
少年 じいちゃんから教えて貰った動きなんだ。
少女 おじいさん?
少年 とりあえずここは危ないから、一旦逃げよう。どこか隠れるところないの?
少女 あなたはここの人じゃないの?
少年 うん。それよりも早く案内して。
少女 分かった
少年 俺の名前は「ハジメ」
少女 ウチは「アキ」
ハジメ そうか。アキ。よろしく。
アキ ハジメ。よろしくね!
■少年と少女は広場を去る。暫くするとそこへ住宅街を無理やり抜けるような形で機関車が蛇のように走ってくる。その汽車から一人の男が降りてくる。
服部 何があった?
大男 が…き…が
服部 ガキ?
大男 服部…様、申し訳ございません…ポイントを…回収できませんでした…
服部 なるほどな。
大男 服部様ッ!?
■拳銃で大男にトドメをさし汽車へ戻る。その途中であるモノが落ちていることに気づく。
服部 青春18切符?これが何故こんな所に。しかも使用済みか。
■服部はその切符を服に仕舞い、再び汽車に乗り、その場を去る。
ナレーション
時はラジオ体操時代。世間の通貨がラジオ体操のスタンプで一般化。
子供からお年寄りまで平等に通貨を手に入れることが出来る。
しかし、「ラジオ体操連合」の出現により体制は悪化。
ラジオ体操を駆使して、暴虐なまでを尽くし、貧富の差は開く一歩。
これはそんな時代を生き抜く、「ハジメ」と「アキ」の物語である。
to be continued
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