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■開始時間まであと十分。
小さなアパートの真ん中に位置するちゃぶ台に並ぶのは、コンビニで買って来た好物であるロールケーキ数種類。いや、まさか…隣駅のコンビニまで行かなきゃいけないとは思わなかった…。マジで売り切れたぞローソン。ひょっとしてこの近くに私と同じ挑戦者がいたり…してるんだろうな。この戦い自体何度も何度も起きている事だけど、今回に限って言えば種類が違う。種類というか内容?前回これと同じ戦いが起きたのは実に一年前。一年ぶりの戦いだ。そりゃぁ、みんな真剣度が違う。
ちゃぶ台に並ぶロールケーキはどれも全部種類が違う。イチゴもあればチョコもあるし、抹茶なんて変わり種も。軍資金とは別で私が個人的に用意した物だからこれだってあまり数は揃えられなかった。この戦いが終わったら…いや、辞めとこう。この構文はフラグだ。前言撤回。今のナシ。
とにかくこのロールケーキは後でスタッフ(私)が美味しくいただきます。
■開始時間まであと五分。
あぁぁぁああ!緊張してきた!いや、マジで何やってんの?私。これで負けたら三万パーだよ?三万で何ができる?ちょっとした旅行に行けるよね?近場の温泉とか行けちゃうよね?東京のイベントに遠征とか行けちゃうよね?え?そっちに使った方がマジで良くね?やっぱりやめる?別に戦わなくても死ぬ訳じゃないし生きて行けるんだし…。
ふと視界に写ったまぶしい笑顔に、ロールケーキに囲まれて無邪気に笑う笑顔に怖気づいていた私の臆病風があっという間に消し飛んだ。
ダメだ!やっぱり勝ちたい!例え負けてしまったとしても、三万パーになったとしても。それでも私は勝つだけの事を最後までしたい!何もせずにこの戦いをスルーとかあり得ない!それはこの戦いにおける一番の負けだ!戦わずに勝つ?ふざけんな!戦わなければ勝てないんだよ!
…そろそろ始まる。もういい加減腹を括れ。
温泉に行けなくても銭湯には行ける。東京に行けなくても…いや、よく考えたら東京とかクッソ可愛くねぇメンヘラ愚弟がいるから別に行きたくねぇし!
すぅと息を大きく吸い込んで。携帯のアプリをアップデート。まずは、手持ちの軍資金のうち、手堅く一万をベット。
さぁ、戦いの始まりだ!
期間限定ガチャ
UR戸倉・ミシェル・花月光 花嫁バージョン
出現確率UP!
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